中国の滴々の99買収で注目を集めるブラジルのカーシェアリング業界のまとめ第二弾です。
(前回のブログはこちら)
1 南米でのカーシェアリングも規制対応は大きな課題
2 ブラジルのカーシェアリングはUBERの圧倒的優位な中、決着間近
3 ブラジル初のユニコーン誕生でスタートアップエコシステムにプラスの影響
2 ブラジルのカーシェアリングはUBERの圧倒的優位な中、決着間近
ブラジル、サンパウロでのカーシェアリングのシェアを見ると8-9割と圧倒的なシェアを誇っているのはUberで、次に今回買収された99が10-15%程度、Cabifyが数%という状況です。(各種ソース+独自調査の結果を含めた推測)
また、サンパウロ以外ではUBERしか使えない都市も多く、ブラジル全体でのシェアはUBERが圧倒的といっていいでしょう。
UBER以外のサービスはかなりの割引クーポンの乱発、登録ドライバー向けの最低賃金保証や手数料軽減等の優遇策を打っていましたが、今は料金も利用者にもドライバーにもほぼ同等でプロモーションでシェアを覆すところまではいけなかったようです。
この競争の中で99と同時期にサービスインした老舗のEasyTaxiは現時点では高級タクシーに特化し、一般ドライバーを呼ぶことができない状況になっています。
ドライバーの数はUBERが50万人というデータを公表していますが、UBER、99はオンラインで登録が完了するのに対して、CabifyはCabifyのオフィスで必要書類を届けることが必要とされているので、やはりUBERが多いようです。(複数アプリでの兼業が認められているので、登録ドライバー数だけを見てもなかなか判断はできずアクティブなドライバー数を見ないといけないですが)
業界をシェアトップとの相対的なシェアで判断するRMS(Relative Market Share)という考え方がありますが、今回滴々に買収された業界2位の99から見るとUBERは8-10倍の大きさなので、圧倒的に不利と言えるでしょう。
複数社が普及しているサンパウロでは各社の特色に合わせたすみわけがあります。
- UBERは圧倒的なシェアなので、呼んでからドライバーの到着までの時間が一番短いです。一方で、車両やドライバーのクオリティが低いです。
- Cabifyは車両のスタンダードが高く、サービスレベルも高いことがあり女性に人気が高いと言われています。
- 99は一般車両に加えてタクシーも呼べるのが便利です。渋滞がひどいサンパウロではタクシーのみが走れる専用レーンがあり、渋滞時に急ぐ場合には便利です。
ただ、これで長期的にもきれいにすみわけができると考えるのも難しく、外部からの資本強化をしておくのは合理的な経営判断ですし、投資家も売れるうちに売っておきたかったでしょう。
なお、UBERは規制対応の問題を中心に競争ではなく当局に規制されて全く営業できなくなってしまう、といった状況がロンドンやアルゼンチンで起きています。ソフトバンクのような投資家の立場から見ればリスクがある中では複数のカーシェアリング起業をポートフォリオ的に持つことは理にかなっています。UBERが万一禁止されても99があるわけですから。
また、各社のアプリは少しずつ異なり、ユーザー的には慣れたインターフェースで利用したいものです。FacebookがMessengerを持っているのにWhatsapp買収後に統合をしなかった状況を見ても、BtoCのデジタルサービスは製造業などに比べて統合による効率化要素は限られるので、買収後に統合しないケースが今後も一般的になってくると思います。
(明日以降に続きます)
前回のブログはこちら https://blog.brazilventurecapital.net/jp/2018/01/09/carsharing-update-1/