Bitcoin Brazil

in ビットコイン, ブラジルのITビジネス

ブラジルのビットコイン・仮想通貨市場(2) 税務・規制編

今回のブログでは法規制や税務関連について書こうと思っていたのですが、

先日のブログの後、ブラジルでのビットコイン保有者数に関する記事を発見したので、まずは再度日本とブラジルのビットコインに関するアクティブさの比較をしたいと思います。

 

ビットコイン利用者数と一人あたり利用額

ブラジルでのビットコイン利用者数は約100万人、ブラジル国民の約0.5%です。

前回に書いたブラジルのビットコイン取引所大手のMercado Bitcoinが75万アカウント(うち25万アカウントがアクティブ)、FoxBitが25万アカウントを持ち、その他のビットコイン取引所も含めたざっくりとした推計ですが大筋あっているでしょう。

日本では最大手のBitFlyerが100万人突破キャンペーンを2017年11月に行っていて、12月には達成見込みとのことでした。ざっくり取引量のシェアからBitFlyerが日本国内の7割を持っていると仮定すると140-150万人が日本の総利用者数という感じでしょうか。日本の人口のざっくり1.3%。

普及率でいうと日本がブラジルの約2.5倍くらいの感じですね。

国全体の取引額が700倍違うので、一人当たりの取引額は日本がブラジルの約280倍!ブラジル人が1人当たり24時間で300円ほどを売買しているのに対して日本人は1人当たり24時間で8.4万円売買している計算に(全ビットコイン保有者を母数にしているので24時間での取引参加者でみないと正しくないですが)。

 

やはり日本の市場は桁違いですし、ブラジルのビットコイン取引所が日本市場に進出したくなる気持ちもよくわかります。

 

 

さて、ここから今回の本題に入って、ブラジルでのビットコインをはじめとする仮想通貨に対する法規制について、具体的に見ていきたいと思います。

 

投資家のビットコイン・仮想通貨保有の申告義務とビットコイン・仮想通貨売買益への課税制度

結論から先にまとめると仮想通貨を購入・売買については以下のような申告・納税が必要になります。

  • 5000レアル(約17.5万円相当*)を超える仮想通貨は財産として毎年の確定申告時に申請。5000レアルは取得時の時価で計算すればよい。
  • 売却益が月間35000レアル(約122.5万円相当*)を超える場合は15%の税率での納税が必要。(条文読むと損益の相殺は当月内でのみ可能というように読み取れます)

 

ブラジルの場合、所得税率が最大27.5%なのですが、所得合算にはならずに個別の税率が適用されます。なお、この15%は株式売買等のキャピタルゲインと同様の税率なのでまあまあフェアだと言えるでしょう。

ちなみに、ブラジルでは会社員も基本的には確定申告をします。財務省が申告用のソフトを配るので給与所得しかない人はさほど大変ではありません。

そして、申告時に元々当該年度の収入・支出だけでなく、自分が所有する不動産等の財産、銀行口座残高についても申告が求められていますので、申告内容がちょっと増えただけ、という感じでしょうか。手間もさほど大変な感じではありません。

なお、日本で話題になっている国民背番号制はブラジルではCPFという納税者番号で既に実現しています。あらゆる契約に自分の納税者番号を記入しないといけないため、申告漏れが後で見つかって追徴課税されるリスクはある程度理解している人が多いです。特にビットコインを取引する人はかなり金融・情報リテラシーが高い人だと思うので、日本ほど申告忘れの問題は発生しにくいと思います。

 

ビットコイン・仮想通貨取引所に関する規制

2018年にはビットコイン・仮想通貨取引所に対する規制を行う方向で議会は動いていると言われています(末尾のサイト参照)。そして明確に「日本のようなモデル」として日本が名指しで手本として考えられていますので、早晩この方向に動いていくことはかなりの高確率で起きるという見方が強いようです。

現時点ではまだ自由に取引所的なサービスができるのですが、有名な取引所は既にポジションを確立してしまっているので規制が適用されてもそれほど大きな混乱は起きないのではないかと業界では噂されています。

 

ビットコイン・仮想通貨に投資するファンド組成の禁止

Newspicksでも取り上げられていましたが、2018年1月にブラジルの金融当局が「仮想通貨を対象にしたファンドの組成を禁じる」としました。ただ、ここの法解釈もある程度暫定的なものという位置づけで、あくまで現時点では「仮想通貨は金融商品ではない」ということから導き出される結論です。

したがって、今後仮想通貨のみを対象にしたファンド組成が金融商品とは別の免許・規制の元に可能になる可能性は十分考えられるという見方もあるようです。

 

*1ブラジルレアル=35円として計算

参考サイト

http://www.correiobraziliense.com.br/app/noticia/economia/2017/12/17/internas_economia,648293/como-investir-em-moedas-virtuais.shtml
https://www.criptomoedasfacil.com/deputado-quer-criar-licenca-para-corretoras-de-bitcoin-no-brasil/