要旨
決済系ベンチャーのEbanxが、ブラジル南部発のスタートアップとして初めて、ユニコーン企業に仲間入りしました。(EXAMEの10月16日付の記事より)
Ebanxの創業メンバー (EXAMEより引用)
この度のユニコーン誕生は、グロース・キャピタル・ファンドであるFTV Capitalによる追加投資(金額非公開)により、実現しました。Ebanxは、2017年末までに、FTV Capitalより3,000万レアル (8億円相当)の出資を受けており、それ以来、毎年80%の成長を遂げています。
Ebanxってどんな会社?
Ebanxは2012年に南部パラナ州クリチバで創業し、サンフランシスコやシンガポールを含む6ヶ国を拠点(従業員は約500名)としています。主にAirbnbやUberといったクロスボーダーの企業向けに、南米8ヶ国の決済を取り扱う決済プラットフォームサービスを提供しています。
共同創業者であるAlphonse Voigt氏、Wagner Ruiz氏、João Del Valle氏の3名は、eコマース市場の二桁成長を呼び水に、ブラジルにおける決済関連の市場規模は、年間50-70億レアル (1300-1800億円相当)になるだろうと、当時推定していました。
「各国には独自の決済スキームがあり、それらの仕組みを理解し、顧客に統合されたプラットフォームを提供する事が、我々の使命だ」と、以前、Ruiz氏は語っていました
Ebanxの具体的なサービス
現在では約1,000のeコマース業者がEbanxの決済プラットフォームを活用し、これにより、5,000万人以上の南米の顧客は、それらeコマースの提供する多様な製品やサービスにアクセス可能となっています。
例えば、南米市場に進出したい日本のeコマース業者にとっては、100種類以上の決済方法への対応、現地のクレジットカード決済による2-3倍の承認率、さらに高いセキュリティなど、Ebanxのプラットフォームを通じて、日本を拠点としながら、南米市場の複雑な課題を解決する事ができます。
また、同社のホームページは英語やスペイン語に加え、ドイツ語、中国語、そして日本語等にも訳され、グローバル事業展開への積極的な姿勢が伺えます。
Ebanxの成長戦略
同社は、今後も南米を中心に、グローバル事業展開を続ける計画です。例えば、今年4月には、ローカル向け決済サービスをブラジル国内でスタートし、コロンビアへの展開も目論みます。2020年までに、クロスボーダーおよびローカル決済の両方において、南米のトップ企業になる事を目指しています。
決済系スタートアップのポテンシャル
昨日のオープン・バンキングのフォーラムに関するブログでもご紹介しましたが、Ebanxのユニコーン化を機に、決済系スタートアップ市場はますます活気付く事が伺えます。
Ebanxのビジネスモデルから学べる事は、「とりあえずはブラジル(南米)市場で、ブラジル(南米)企業向けに…」という単純な経緯ではなく、eコマース市場の成長や顧客の課題など全体を俯瞰し「ブラジル(南米)市場で、南米外の企業向けに!」というロジックから、独自のセグメントを築いた事です。
(決済系に限らず)スタートアップとしては、差別化を図る上では、技術力もさることながら、「誰にどのように売るか (あるいは売らないか)」というマーケティング戦略も鍵と言えそうです。
ブラジル南部のポテンシャル
あまり知られていませんが、実は、ブラジル南部はサンパウロやリオデジャネイロに負けず劣らず、スタートアップが活況です。
例えば、パラナ州のお隣サンタ・カタリーナ州フロリアノーポリスは、”南米のシリコンバレー” (英BBC)とされ、近年注目を浴びています。
詳しくはこちら (Floripa Business Hub)
12-1月には、フロリアノーポリスに滞在しながら、”南米のシリコンバレー”最前線を現地よりお届けします。
乞うご期待くださいませ。
—ご案内—
来月22日(金)には、第2回ブラジル・ジャパン・スタートアップ・フォーラム2019を開催します。
ブラジルと日本で注目の各種スタートアップやビジネスに迫る貴重な機会です。
どうぞお見逃しなく!