in フォーラム

フォーラム便り vol.3 | Horus社 Lucas Bastos氏

フォーラム便りvol.1では、フォーラムの全体像と、ブラジルベンチャーキャピタルによるOpening Remarksを取り上げました。

vol.2以降は、全18セッションの模様をシリーズでお届けして参ります。

今回は、Horus社 Lucas Bastos氏による「Brazil’s Agtech Startup Introduction」です!

 

Horus社 Lucas Bastos氏による「Brazil’s Agtech Startup Introduction」

 

会社概要 | ドローンと情報技術を駆使したブラジル発のアグリテック企業

Horus Aeronaves (以下Horus)は、ドローンを活用した農業分野のソリューションを提供すべく、高性能の航空マッピングを可能にするドローンを製造し、オンライン画像処理プラットフォームも開発しています。”DaaS” (Drone as a Service)がビジネスモデルの特徴と言えます。

同社のFounderであるHertz氏、Mondadori氏、そしてBastos氏の3名は、ブラジル・サンタカタリーナ連邦大学の機械工学科所属の2010年に、ドローンおよびエアロデザインの研究プロジェクトに参加しました。国内外での受賞や市場の成長見通などを踏まえ、2014年にHorusを創業しました。

現在では、32名の従業員を抱え、2015~2018年の売上は+380%を記録、累計の資金調達はおよそUS$2.1Mにのぼります。なお、アドバイザリーボードには、後日のフォーラム便りでもご紹介予定のSP VenturesのJardim氏も名を連ねます。また、フォーラムの直前に、我々がお邪魔したサンパウロ・ピラシカーバ市内のアグリテック系コワーキングオフィスにも拠点を構えます。

 

問題提起 | 情報技術の欠如による農業への損失

作物管理に必要な情報が欠如する事で、農家には主に以下の様な割合で損失が発生するそうです。

31% 管理コスト増加

26% 害虫対策

24% 雑草対策

19% 生産性低下

 

Horusが提供するソリューション | “DaaS” (Drone as a Service)

ドローンや衛星によって収集された画像に人工知能を適用して、専用のプラットフォームであるmappa上で農業情報を提供します。利用額は、mappaは月額US$130~、ドローンはUS$1.3K~となっております。顧客の要望に合わせたカスタマイズが可能です。

DaaSのイメージ図

 

mappaの持ち味 | 40以上のアルゴリズムによる農業情報サポート機能

mappaは、ドローンや衛星からの画像情報を管理するプラットフォームです。ドローンや衛星の位置情報の確認、顧客データシステムとの統合、複数のユーザーアクセス、農業機械との統合などを可能にします。

さらに、mappaには40以上のアルゴリズムが組み込まれ、「ドローン適用マップ、ライン分析、障害および個別のカウント、土壌サンプリングの最適化、害虫および雑草の警告、栄養障害マップ、生育モニタリングおよび安全監視」といった機能が持ち味と言えます。

 

顧客へのベネフィット | 50%のコスト削減と20%の生産性改善

こうした統合ソリューションにより、顧客は50%のコスト削減、20%の生産性増加が見込めるそうです。現在では、ブラジル国内に加え、アルゼンチンやペルーといった南米諸国で200以上のディストリビューターと提携し、広範囲の農家をカバーし、DaaS普及のポテンシャルが伺えます。

 

市場の概況 | 成長著しいドローン市場とブラジルの広大な農地面積

ブラジルの農地面積は約3億ヘクタール(日本の農地面積のおよそ70倍!)、農業関連技術者数は30万人、ドローン数は15万機とされています。また、ドローン市場は、2018-2024年について、南米ではUS$0.5BからUS$1.0Bに倍増、世界全体では、CAGR20.5%でUS$43.1Bに到達の見込みです。

 

競合他社との差別化 | 低コスト、カスタマイゼーション、衛星機能で競争優位を構築

Drone DeployHumming BirdSensixといった欧米やブラジル国内の主な競合他社の比較も紹介されました。Horusはヘクタールあたりのコスト、カスタマイゼーション、衛星機能といった分野で競争優位を築いているそうです。

 

2019年度のモメンタム | 毎月20%の有料会員数増加

今年度は、約3,200のフリートライアルのうち、5%ほどが有料会員となり、その数は毎月20%ずつ増加しているそうです。直近の第3四半期決算では、売上が計画比+70%を記録し、経営成績は順調な様子です。

 

向こう4年間の成長ターゲット | 有料会員数は2万人、年間経常収益はUS$24M

2023年を目安に、有料会員数は2万人、年間経常収益(ARR)ではUS$24Mをターゲットとしているそうです。

 

新たな資金調達計画 | US$2.4Mで成長目標達成へ

上記の様な目標を達成するために、Horusでは、新たにUS$2.4Mの資金調達を計画しているそうです。資金は主に、テクノロジー、マーケティング、人財の3分野の強化に分配される模様です。また、Bastos氏は「投資家には、資金に加えて、経営戦略および市場アクセス面でのサポートを期待します」と述べました。

2014年創業以来の資金調達の推移

 

示唆に富んだ貴重なご講演を頂き、ありがとう御座いました!