in ニュース

News | ARPACがテクノロジーで変える農業の未来

ニュース要旨

新型コロナウイルス感染拡大の影響はスタートアップ市場、ベンチャーキャピタル市場にも広がりつつあります。一方で、この未曾有の事態を機に、より一層存在感を示し、事業成長を遂げる企業があります。それが、農業系ドローンを手掛けるブラジル発のARPAC社です。日本のドローンファンドや、弊社ブラジル・ベンチャー・キャピタルも出資者として名を連ね、第1回からブラジル・ジャパン・スタートアップフォーラムにご登壇頂きました。今回のブログでは、ブラジル現地メディアが特集した”「ドローン・人工知能・農薬」が変える未来”に関する記事をご紹介します。

昨年11月開催の第二回ブラジル・ジャパン・スタートアップフォーラムにご登壇頂いた、ARPAC社のEduardo Goerl氏 (写真右)

農薬の位置付け

農業における課題の根本は何でしょうか?なぜ、農薬が必要なのか?言うまでもなく、農作物を害虫や疫病から守るためです。家庭菜園を例にとると、日光や水不足は作物の成長を妨げます。農業においても同じことが言えますが、その規模感が異なります。1ヘクタールは、サッカー場の広さに近似しますが、ブラジルにはおよそ65Mヘクタールもの広大な農地があります。

農薬のメリットとデメリット

害虫や疫病対策について、製品としての(化学・バイオ)農薬と、それらの散布について考えてみましょう。
農薬の散布は危険を伴う困難な作業です。今日では、手作業もしくはトラクターや飛行機によって散布されています。各方法により効率性や規模は異なります。もし農薬を散布しないと、何が起こるでしょう?農業の生産性が低下し、ひいては、飢餓人口が増加する可能性があります。これらの議論を踏まえると、以下3点の、農薬に関するメリットが挙げられるでしょう。

1) 農作物を守る。

2) 食糧生産を促進し、社会開発を支える。

3) 地方の小規模農家の生産性向上にも寄与する。

一方で、農薬を使用して栽培された作物が人体への悪影響を及ぼすリスクがあるという研究報告もあり、そのデメリットがあることにも留意したいところです。

ドローンや人工知能が解決する農薬の課題

農薬やその散布には様々な課題がありましたが、テクノロジーが解決しつつあります。つい数年前までは、ドローンによる農薬散布は困難と考えられてきましたが、現在では、アグリビジネスの新しいモデルの核になっています。伝統的な農業では、広大な農地の中から一部の害虫をサンプルとして活用するなど、疫病を検知する精度は高くありませんでした。現在では、ドローンとそのモニタリングソフトウェア、人工知能等を活用することで、農作物の状態をより正確に把握できるようになりました。さらに、農薬散布の効率も高まり、その費用は下がり、同時に、必要最小限の農薬使用は、人体への影響も改善することでしょう。

テクノロジーが変える農業と農薬の未来

さらに、現在では研究所において開発された害虫対策のハチの卵を活用し、農業の生産性を高める取り組みも進んでいます。このように、より従来の化学から、技術を生かした自然由来の農法が支持を集めています。こうして、農業におけるデジタル・トランスフォーメーションは着実に進んでいます。農業におけるテクノロジーの活用は、未来の話ではなく、今まさに、形となっているのです。

ARPAC社のドローンを用いたソリューションのイメージ図(左から計画、農薬散布、結果分析)

あとがき

かつて、農薬は「農業の生産性向上や食糧不足対策等に不可欠である」、一方で「人体への健康被害リスクがある」といった不可避のトレードオフがありました。それをARPACのドローンやテクノロジーが解決しつつあります。ARPACが推進する農業のデジタル・トランスフォーメーションは、事業としてはもちろん、社会的な側面においても有意義であり、今後の持続的な成長が期待されます。

ソース

ESTADÃO, Fausto Macedo (16, May 2020)