ブラジルで2頭目のユニコーン誕生!ブラジルのPagseguroがNYSEでIPO

NYSEに上場したPagseguro

1月3日に中国のカーシェアリング大手、滴滴がブラジルの99を買収してブラジル初のユニコーンが誕生したとして大きな話題になりました。 そのわずか3週間後、1月24日に今度はブラジルの決済サービスのPagseguro(パグセグーロ)がニューヨーク証券取引所への上場という形で第二のユニコーン誕生となりました。アメリカでもスナップチャット以来の大型上場としてした報道のされかたもしています。 調達額だけで11億ドルで、企業価値は75億ドルとユニコーン5頭分の大きさです。売上高が2016年度が4.3億ドルですからちょっとバリュエーションが高すぎるようにも見えますが、最終四半期の売上成長率も140%と相変わらずの急成長を遂げています。IPO後株価は30%上昇したあたりを推移しているようなのでまずまずの出だしでしょう。 Pagseguroは2006年にメディアグループUniverso... Read More

ブラジルのビットコイン・仮想通貨事情(3) アルトコイン取引のポテンシャル

ブラジルのビットコインセミナー

冒頭の写真はたまたま昨日Weworkで開催されたBitcoin関連のセミナーです。大手ビットコイン取引所のFoxBit関係者などが登壇してパネルディスカッションなどをやっていました。 立ち見も出る盛況度合いでしたし、来てる人もごくごく一般の方々だったんで、ブラジルでのビットコインは過熱気味だなと改めて思いました。 さて、今回はブラジルのアルトコイン・ICO関連について書いてみようと思ったんですが、実はあまりネタがないんです・・・・。 というのも、ブラジルのビットコイン取引所の大手はあくまでビットコインの取引のみに終始しています。現状ではビットコインって何?っていう段階なので、リップルとかイーサリアムとか言ってもなかなか一般にはわかられないでしょうから、現時点ではビットコイン一本で行くのは戦略的には正しそうな気がします。ブラジルの取引所は本格稼働してからせいぜい2-3年しか経っていませんからビットコインのことだけで手一杯なんでしょう。   したがってアルトコインをブラジルで買おうとしたら名前もきいたことがない零細取引所に頼らざるを得ません。ただブラジルの零細仮想通貨取引所にお金を出すのはさすがに怖くて手が出せる人はものすごく限られるでしょう。仮想通貨関連の情報サイトを見てもアルトコインの取引所としておすすめされているのはPoloniexやBitrrexなどで、国内取引所を探すこと自体が割と大変です。 でも、視点を変えて考えると、ブラジルのアルトコイン取引はまだまだこれからという段階で、競争も限定的ですから、日本の取引所の海外進出はまだまだチャンスがあるということかもしれません。 日本はビットコイン先進国としてレピュテーションが高いですし、一般論としても日本=信頼という図式が一般にも成り立つので、ブラジルのスタートアップと提携するなどで入ってくるチャンスは大いにあると思います。 Bitflyerさん、Coincheckさん、Zaifさん、はたまたDMMさん、GMOさん、是非ご検討ください。  ... Read More

ブラジルのビットコイン・仮想通貨市場(2) 税務・規制編

Bitcoin Brazil

今回のブログでは法規制や税務関連について書こうと思っていたのですが、 先日のブログの後、ブラジルでのビットコイン保有者数に関する記事を発見したので、まずは再度日本とブラジルのビットコインに関するアクティブさの比較をしたいと思います。   ビットコイン利用者数と一人あたり利用額 ブラジルでのビットコイン利用者数は約100万人、ブラジル国民の約0.5%です。 前回に書いたブラジルのビットコイン取引所大手のMercado... Read More

ブラジルのビットコイン・仮想通貨事情

国別Bitcoin取引高

日本のメディアでビットコインについて毎日メディアで報じられているようですが、南米ブラジルでもビットコインに対する過熱感が高まっています。 タクシードライバー(私はタクシー乗らないんでUBERドライバー)が話題にする=もはや売り局面と言ってもよい状況はブラジルでも同じです。また、ビットコインがらみのスタートアップに合うと日本での取引高の大きさから、日本とのネットワークを持つ私への興味も高まっているようです。 自分の整理も含めてブラジルのビットコインを含む仮想通貨事情について少しずつまとめてみたいと思います。   取引高は世界15位。でも日本の700分の1 日本がビットコイン取引高首位になってから数か月たっています。本ブログ執筆時点の2018年1月21日のCryptoCompareのサイトを見てみると、この24時間での取引高として、ブラジルは世界で15位です。 ただし、この24時間での取引量は日本円で約3億円相当、同時期の日本円取引高は2145億円ですので、日本の約700分の1という状況です。人口は日本の1.5倍くらいいて、GDPは日本の35%程度なわけですから、金額的には圧倒的に小さいと言わざるを得ません。(富裕層はブラジル国外の口座でUSDベースで取引しているかもしれませんが) 円、米ドル、ユーロ、韓国ウォンの4通貨にUSDTとAICを加えるとビットコイン取引量全体の98.5%を占めるわけなので、それなりに頑張っていると言えるかもしれません。 ブラジルの取引量の増加はビットコイン全体の取引量の増加とほぼ同じペースではありますが、2016年12月から2017年12月までに75倍に増えており、国内でも注目度が高まっているのは間違いありません。   ブラジルの仮想通貨取引所 ブラジル国内には11の仮想通貨取引所があります。 国内シェアトップのFoxBit社がビットコイン取引量全体の42%、2位のMercado... Read More

ブラジル初のユニコーン誕生でスタートアップにプラスの影響 南米のカーシェアリング業界(3)

ブラジル カーシェアリング

中国の滴々の99買収で注目を集めるブラジルのカーシェアリング業界のまとめ第三弾です。 ユニコーンの誕生でブラジルのスタートアップエコシステムの活性化が進むでしょう。 (前回のブログはこちら) 1 南米でのカーシェアリングも規制対応は大きな課題 2 ブラジルのカーシェアリングはUBERの圧倒的優位な中、決着間近 3 ブラジル初のユニコーン誕生でスタートアップエコシステムにプラスの影響   今回の滴滴の99買収時の企業価値はUS10億ドルと言われています。これで99はブラジル初のユニコーン企業となったことを意味します。 下記のTechCrunchの記事によると2017年1月に投資した100億ドルに加えて今回900億ドルを出資、うち600億ドルは既存株主に、300億ドルは会社への資金注入となっています。 https://techcrunch.com/2018/01/03/didi-confirms-it-has-acquired-99-in-brazil-to-expand-in-latin-america/ これまでの99への投資家をCrunchbaseで見てみるとMonasheesというブラジルの最古参のベンチャーキャピタル、米系のQualcomm、Tiger... Read More

UBERの圧倒的なシェアで勝負あり 南米のカーシェアリング業界(2)

ブラジル カーシェアリング

中国の滴々の99買収で注目を集めるブラジルのカーシェアリング業界のまとめ第二弾です。 (前回のブログはこちら) 1 南米でのカーシェアリングも規制対応は大きな課題 2 ブラジルのカーシェアリングはUBERの圧倒的優位な中、決着間近 3 ブラジル初のユニコーン誕生でスタートアップエコシステムにプラスの影響   2 ブラジルのカーシェアリングはUBERの圧倒的優位な中、決着間近 ブラジル、サンパウロでのカーシェアリングのシェアを見ると8-9割と圧倒的なシェアを誇っているのはUberで、次に今回買収された99が10-15%程度、Cabifyが数%という状況です。(各種ソース+独自調査の結果を含めた推測) また、サンパウロ以外ではUBERしか使えない都市も多く、ブラジル全体でのシェアはUBERが圧倒的といっていいでしょう。 UBER以外のサービスはかなりの割引クーポンの乱発、登録ドライバー向けの最低賃金保証や手数料軽減等の優遇策を打っていましたが、今は料金も利用者にもドライバーにもほぼ同等でプロモーションでシェアを覆すところまではいけなかったようです。 この競争の中で99と同時期にサービスインした老舗のEasyTaxiは現時点では高級タクシーに特化し、一般ドライバーを呼ぶことができない状況になっています。   ドライバーの数はUBERが50万人というデータを公表していますが、UBER、99はオンラインで登録が完了するのに対して、CabifyはCabifyのオフィスで必要書類を届けることが必要とされているので、やはりUBERが多いようです。(複数アプリでの兼業が認められているので、登録ドライバー数だけを見てもなかなか判断はできずアクティブなドライバー数を見ないといけないですが) 業界をシェアトップとの相対的なシェアで判断するRMS(Relative... Read More

滴滴の99買収でブラジル初のユニコーン誕生 南米のカーシェアリング業界(1)

ブラジル カーシェアリング

中国の滴々がブラジルのカーシェアリング大手99を買収したことはブラジルでも大きなニュースになっています。ブラジルを含む南米ではカーシェアリングは一般的なものになっていて、日本よりもかなり浸透しています。 以前にもこのブログで南米のカーシェアリング業界について書きましたがここで最近の状況を含めてアップデートしたいと思います。 1 南米でのカーシェアリングも規制対応は大きな課題 2 ブラジルのカーシェアリングはUBERの圧倒的優位な中、決着間近 3 ブラジル初のユニコーン誕生でスタートアップエコシステムにプラスの影響   1 南米でのカーシェアリングも規制対応は大きな課題 日本では規制の関係でカーシェアリングがなかなか普及していません。 中南米ではブラジルに限らず、メキシコ、チリ、コロンビア、アルゼンチンでもUBERを含む複数のサービスが普及していますが、実は規制については似たような状況です。 異なるのは南米では元々規制を無視した白タクが日本よりも一般的だったこと、タクシーに不満を持つ消費者が多いこと、物事が法律通りに進まないビジネス環境、があることで業界・行政と小競り合いを繰り返しながら、一部のサービスを除いて多くのサービスが違法、もしくはグレーゾーンの中で運営を続けている状態が数年続いている状況です。 ブラジルでの規制当局との関連を紐解いてみると、まず最初にスタートしたのは99とEasyTaxiで、タクシーのみを呼べるアプリとしてサービスをスタートしました。その後、Uber、Cabify等が参入して一般ドライバーを呼べる状況が起きたことで99とEasyTaxiも一般ドライバーを呼べるサービスを加えて追随しました。 こうしたサービスは最初は納税を個々のドライバーに任せることで税務の問題を回避しようとしていたのですが、タクシー組合が違法として訴訟を起こし、多くの市でアプリ側がタクシーと同様の納税をすることでひとまず決着を得たので現時点ではUber含め、多くの市では合法なサービスと認められています。 なお、ブラジルの場合は規制の単位が市なので市によって使えるところ、使えないところがありますし、空港付近などで特別なタクシー協会の力が強いところはアプリ側が自主規制してサービスを使えないエリアを設定していた時期などがありました。 その後、現在再度ブラジルで争われているのは、タクシーと同様の車両・ドライバーに対する要件をカーシェアリングのドライバーにも適用するべきだという点です。 例えばタクシーに使える車両は必要な費用を払い、手続きを踏むことで当局から正式にタクシー業務が可能な車両として登録されます。手続きの中で必要な保険に入ること、車検を受けていること、車両の所有者が納税等の当然の義務を果たしているかが確認されます。 また、ドライバーも必要な手続き・テストを得ることで過去の違反歴や犯罪歴、適正な運転免許を保有しているかどうかを確認されます。 最終的な結論が出るまでにまだ時間がかかりそうですが、ドライバーと話していても「規制ができたら必要な登録作業を行うだけ」という人も多く、サービス自体が根本的になくなることはなさそうです。 なお、コロンビアでは通常のUBERは非合法ながら、UBER... Read More

国の交通インフラに。ブラジルのライドシェア、タクシーアプリ事情ー2 :Uber, Cabify, 99Taxi, Easytaxi

UBERなどのライドシェアサービスは日本でも話題になっていますが、UBERはブラジルの主要30都市以上で利用でき、交通インフラと言えるほど浸透しています。ブラジルでのUBERの利用者数は2017年2月に870万人を超え、ブラジルはUBERにとってアメリカの次に大事な市場です。 今回はブラジルのタクシーアプリ、UBER等のライドシェアサービスが浸透してきた様子を時系列で振り返ってみたいと思います。日本でUBER等のライドシェア、タクシー業界の方に参考になれば幸いです。 —前回のブログの内容はこちらからご覧ください— 1.ブラジルの交通事情とタクシー事情 2.ブラジルのタクシーアプリの台頭 3.UBERのブラジル参入   —今回の内容— 4.ブラジルでのライドシェア・タクシーアプリの新規参入と合法化の流れ 5.競争激化とサービスの多様化 6.私が日本のタクシー会社だったこうやります     4.ライドシェア・タクシーアプリの新規参入と合法化の流れ UBERの成功と並行してWillGo、EasyGo、Televo、Cabify(楽天も出資)などなど、他にも多くのライドシェアアプリがブラジルでサービスをスタートします。 また、サンパウロ市では公式にブラックタクシーが始まります。UBER... Read More

国の交通インフラに。ブラジルのライドシェア、タクシーアプリ事情ー1 :Uber, Cabify, 99Taxi, Easytaxi

UBERなどのライドシェアサービスは日本でも話題になっていますが、UBERはブラジルの主要30都市以上で利用でき、交通インフラと言えるほど浸透しています。ブラジルでのUBERの利用者数は2017年2月に870万人を超え、ブラジルはUBERにとってアメリカの次に大事な市場です。 今回はブラジルのタクシーアプリ、UBER等のライドシェアサービスが浸透してきた様子を時系列で振り返ってみたいと思います。日本でUBER等のライドシェア、タクシー業界の方に参考になれば幸いです。   —今回のブログの内容— 1.ブラジルの交通事情とタクシー事情 2.ブラジルのタクシーアプリの台頭 3.UBERのブラジル参入   —次回予定している内容— 4.ブラジルでのライドシェア・タクシーアプリの新規参入と合法化の流れ 5.競争激化とサービスの多様化 6.私が日本のタクシー会社だったこうやります     1.ブラジルの交通事情とタクシー事情 まずブラジルの交通事情を簡単に説明しておきます。 公共交通機関はバスが中心ですが、エアコンがないことも多く、快適とは言えません。サンパウロやリオデジャネイロなどの大都市には地下鉄や電車がありますがカバー範囲は極めて限定されます。料金はバス・地下鉄ともに距離にかかわらず約130円です。なお、公共交通機関では強盗などの犯罪が発生しやすいこともあり、アッパーミドルクラス以上ではあまり使われていません。 アッパーミドルクラスでは自家用車が1家に1台は普及しています。また、自家用車を使わない場合は仕事でもプライベートでもほぼタクシーで移動します。タクシー料金は日本ほど高くはないですが、サンパウロ市内の中心部を移動するときは片道500-1200円くらいの幅です。 タクシーは、タクシー乗り場に行くか、タクシー会社に電話する形で呼ぶのですが、混んでいる時間帯はなかなかつかまりません。複数のタクシー乗り場に行ったり、複数のタクシー会社に電話しないといけない上、来ると言っても来ないことが多々あります。また、流しのタクシーは少ない上、遠回りされたり、追加の金銭を要求されたり、強盗とつるんでいる可能性すらあり、使い勝手が良いとは言えない状況でした。 この背景にはブラジルのタクシーは個人タクシーが中心で、地域ごとのタクシー組合がタクシー台数を制限していること(新規のタクシー免許の枠が少ない上、免許料が約500万円かかる)、タクシー免許を手にしても、流しか、指定されたタクシー乗り場でしか顧客が拾えない、縄張りの厳格さが挙げられます。 また、タクシーのサービスレベルも低いことが問題でした。タクシー運転手が道を知らないことも多く、目的地付近で人に聞きまくりながらなんとかつく、応対も乱暴、エアコンもないことがある次第。また、ブラジルではクレジットカード決済が非常に発達しているのに、タクシーだけは現金払い、しかもお釣りがあまり用意されていないという状況でした。   2.ブラジルのタクシーアプリの台頭 そんな中、2011年6月にタクシーアプリEasytaxiが、2012年には99Taxiがサービスを開始します。EasytaxiはRocket... Read More