Ciatech創業者マルセロ・サトウ インタビューPart 1: Ciatechの創業

CiaTech創業者マルセロ・サトウ

ブラジル・ベンチャー・キャピタルの起業家インタビューシリーズ。 企業向けのエデュテックで大きく成長し、ブラジルのデジタルビジネス大手、UOLに高いバリュエーションで売却を果たしたCiatechの創業者、マルセロ・サトウ氏のインタビューです。 起業当初のアイディアは成功を収めるまで何度もピボットするものだと言われますが、Ciatechの場合もまさにその代表例です。どのような変遷を経て現在の業態に至ったのか、第一章では創業当初の試行錯誤の様子を語ってくれます。 マルセロ・サトウ(Marcelo... Read More

ブラジルで2頭目のユニコーン誕生!ブラジルのPagseguroがNYSEでIPO

NYSEに上場したPagseguro

1月3日に中国のカーシェアリング大手、滴滴がブラジルの99を買収してブラジル初のユニコーンが誕生したとして大きな話題になりました。 そのわずか3週間後、1月24日に今度はブラジルの決済サービスのPagseguro(パグセグーロ)がニューヨーク証券取引所への上場という形で第二のユニコーン誕生となりました。アメリカでもスナップチャット以来の大型上場としてした報道のされかたもしています。 調達額だけで11億ドルで、企業価値は75億ドルとユニコーン5頭分の大きさです。売上高が2016年度が4.3億ドルですからちょっとバリュエーションが高すぎるようにも見えますが、最終四半期の売上成長率も140%と相変わらずの急成長を遂げています。IPO後株価は30%上昇したあたりを推移しているようなのでまずまずの出だしでしょう。 Pagseguroは2006年にメディアグループUniverso... Read More

ブラジル初のユニコーン誕生でスタートアップにプラスの影響 南米のカーシェアリング業界(3)

ブラジル カーシェアリング

中国の滴々の99買収で注目を集めるブラジルのカーシェアリング業界のまとめ第三弾です。 ユニコーンの誕生でブラジルのスタートアップエコシステムの活性化が進むでしょう。 (前回のブログはこちら) 1 南米でのカーシェアリングも規制対応は大きな課題 2 ブラジルのカーシェアリングはUBERの圧倒的優位な中、決着間近 3 ブラジル初のユニコーン誕生でスタートアップエコシステムにプラスの影響   今回の滴滴の99買収時の企業価値はUS10億ドルと言われています。これで99はブラジル初のユニコーン企業となったことを意味します。 下記のTechCrunchの記事によると2017年1月に投資した100億ドルに加えて今回900億ドルを出資、うち600億ドルは既存株主に、300億ドルは会社への資金注入となっています。 https://techcrunch.com/2018/01/03/didi-confirms-it-has-acquired-99-in-brazil-to-expand-in-latin-america/ これまでの99への投資家をCrunchbaseで見てみるとMonasheesというブラジルの最古参のベンチャーキャピタル、米系のQualcomm、Tiger... Read More

UBERの圧倒的なシェアで勝負あり 南米のカーシェアリング業界(2)

ブラジル カーシェアリング

中国の滴々の99買収で注目を集めるブラジルのカーシェアリング業界のまとめ第二弾です。 (前回のブログはこちら) 1 南米でのカーシェアリングも規制対応は大きな課題 2 ブラジルのカーシェアリングはUBERの圧倒的優位な中、決着間近 3 ブラジル初のユニコーン誕生でスタートアップエコシステムにプラスの影響   2 ブラジルのカーシェアリングはUBERの圧倒的優位な中、決着間近 ブラジル、サンパウロでのカーシェアリングのシェアを見ると8-9割と圧倒的なシェアを誇っているのはUberで、次に今回買収された99が10-15%程度、Cabifyが数%という状況です。(各種ソース+独自調査の結果を含めた推測) また、サンパウロ以外ではUBERしか使えない都市も多く、ブラジル全体でのシェアはUBERが圧倒的といっていいでしょう。 UBER以外のサービスはかなりの割引クーポンの乱発、登録ドライバー向けの最低賃金保証や手数料軽減等の優遇策を打っていましたが、今は料金も利用者にもドライバーにもほぼ同等でプロモーションでシェアを覆すところまではいけなかったようです。 この競争の中で99と同時期にサービスインした老舗のEasyTaxiは現時点では高級タクシーに特化し、一般ドライバーを呼ぶことができない状況になっています。   ドライバーの数はUBERが50万人というデータを公表していますが、UBER、99はオンラインで登録が完了するのに対して、CabifyはCabifyのオフィスで必要書類を届けることが必要とされているので、やはりUBERが多いようです。(複数アプリでの兼業が認められているので、登録ドライバー数だけを見てもなかなか判断はできずアクティブなドライバー数を見ないといけないですが) 業界をシェアトップとの相対的なシェアで判断するRMS(Relative... Read More

滴滴の99買収でブラジル初のユニコーン誕生 南米のカーシェアリング業界(1)

ブラジル カーシェアリング

中国の滴々がブラジルのカーシェアリング大手99を買収したことはブラジルでも大きなニュースになっています。ブラジルを含む南米ではカーシェアリングは一般的なものになっていて、日本よりもかなり浸透しています。 以前にもこのブログで南米のカーシェアリング業界について書きましたがここで最近の状況を含めてアップデートしたいと思います。 1 南米でのカーシェアリングも規制対応は大きな課題 2 ブラジルのカーシェアリングはUBERの圧倒的優位な中、決着間近 3 ブラジル初のユニコーン誕生でスタートアップエコシステムにプラスの影響   1 南米でのカーシェアリングも規制対応は大きな課題 日本では規制の関係でカーシェアリングがなかなか普及していません。 中南米ではブラジルに限らず、メキシコ、チリ、コロンビア、アルゼンチンでもUBERを含む複数のサービスが普及していますが、実は規制については似たような状況です。 異なるのは南米では元々規制を無視した白タクが日本よりも一般的だったこと、タクシーに不満を持つ消費者が多いこと、物事が法律通りに進まないビジネス環境、があることで業界・行政と小競り合いを繰り返しながら、一部のサービスを除いて多くのサービスが違法、もしくはグレーゾーンの中で運営を続けている状態が数年続いている状況です。 ブラジルでの規制当局との関連を紐解いてみると、まず最初にスタートしたのは99とEasyTaxiで、タクシーのみを呼べるアプリとしてサービスをスタートしました。その後、Uber、Cabify等が参入して一般ドライバーを呼べる状況が起きたことで99とEasyTaxiも一般ドライバーを呼べるサービスを加えて追随しました。 こうしたサービスは最初は納税を個々のドライバーに任せることで税務の問題を回避しようとしていたのですが、タクシー組合が違法として訴訟を起こし、多くの市でアプリ側がタクシーと同様の納税をすることでひとまず決着を得たので現時点ではUber含め、多くの市では合法なサービスと認められています。 なお、ブラジルの場合は規制の単位が市なので市によって使えるところ、使えないところがありますし、空港付近などで特別なタクシー協会の力が強いところはアプリ側が自主規制してサービスを使えないエリアを設定していた時期などがありました。 その後、現在再度ブラジルで争われているのは、タクシーと同様の車両・ドライバーに対する要件をカーシェアリングのドライバーにも適用するべきだという点です。 例えばタクシーに使える車両は必要な費用を払い、手続きを踏むことで当局から正式にタクシー業務が可能な車両として登録されます。手続きの中で必要な保険に入ること、車検を受けていること、車両の所有者が納税等の当然の義務を果たしているかが確認されます。 また、ドライバーも必要な手続き・テストを得ることで過去の違反歴や犯罪歴、適正な運転免許を保有しているかどうかを確認されます。 最終的な結論が出るまでにまだ時間がかかりそうですが、ドライバーと話していても「規制ができたら必要な登録作業を行うだけ」という人も多く、サービス自体が根本的になくなることはなさそうです。 なお、コロンビアでは通常のUBERは非合法ながら、UBER... Read More

Esporte Interativo創業者インタビュー:スポーツビジネス界の風雲児Part 3:スポーツ業界での起業を目指して

エディガル・ディニズ

ブラジル・ベンチャー・キャピタルの起業家インタビューシリーズ。 ブラジルで新規参入の難しいメディア・コンテンツ業界でエディガル・ディニズの企業から米タイムワーナーグループのターナー社へ売却までのストーリー。 最終章では自分が育てた企業を売却するに至る背景が語られます。 最後の起業家へのメッセージは国を問わず示唆に富みますので是非参考になさってください。   インターネット配信へのチャレンジ スポルチとして独立したチャンネルでの配信後も、困難な状況は続きましたが、何とか営業を続けられるだけの収益が入ってきましたが、私たちの独立したチャンネルではなかなか視聴者数が増えずにいました。 一方で、国内の有料ケーブルテレビの契約者数はかなり上昇していました。ケーブルテレビのチャンネルの一つとならなければ、他の企業に遅れを取るのは目に見えていました。 しかし、そこから段々と競争や妨害が激しくなりました。特に、元クライアントだったグロボからの妨害は厳しいものでした。 グロボテレビは非常に大きなテレビ局で、重要なコンテンツも持っているので、有料ケーブルテレビ部門である、グロボサット(Globosat)という子会社は大手有料テレビ局のスカイ(Sky)やネット(Net)といったケーブルテレビ会社のコンテンツ選択に影響力を持っていました。 ケーブルテレビ会社自体がコンテンツを自由に決められず、グロボにどのコンテンツを入れるか相談しなければいけなかったのです。グロボは私たちと同じコンテンツ配信会社ですので、競合に命運を決められている状況でした。 結果的に、私たちのチャンネルをケーブルテレビのメニューに入れることをグロボが拒否し、無料でコンテンツを提供したとしても番組枠に入れてもらえないことがわかりました。 厳しい状況でしたが、持っているコンテンツの視聴者を増やす方法を検討していく中で、インターネットを主軸にしはじめました。 2012年、すでにアメリカではネットフリックスがオーバーザトップというストリーミングでのコンテンツ配信で成功していました。私たちは同じくストリーミングの配信モデルでをエウ・プラス(El Plus)というコンテンツを提供し始めました。 この1年後にネットフリックスがブラジルに参入してくることになり、ブラジルで初めてのストリーミング配信を私たちがやることができたのです。   戦略的パートナーによる状況の打破 エスポルチ・インテラチ―ヴォはゴールドマン・サックスに依頼して戦略的な資本提携先を探し始めました。 当時、HDテクノロジー導入などで投資が必要だったので、海外の大手パートナーを株主に迎えることで資金力を増強するとともに会社としての影響力を増して、大手ケーブルテレビとの取引を有利にしようと考えてのことでした。 2013年の半ばにはタイムワーナーグループであるアメリカのターナー社から約7千万レアル(約25億円)の出資を受け、エスポルチの株37%を保有する株主として迎え入れました。 しかし、私たちの考えとは裏腹に、ターナー社参画後も他の企業の抵抗は続いたため、現状を打破すべく大きな投資に打って出る必要があったため、2014年のチャンピオンズリーグ独占権を買い取りました。 これまでもチャンピオンズリーグの放映権を購入してきましたが、それまでの契約には独占権もなく、民間放送でしか放映出来ないという制限付きでした。ブラジル内での競合もほとんどなかったので、契約金額もいまにしてみれば非常に小さなものでした。 ただ、この2013年を超えたあたりではケーブルテレビも力をつけていましたし、私たちが過去に持ってきたことでチャンピオンズリーグがブラジルで十分収益をあげられるコンテンツだということが証明されていたので、同じ条件の放映権ではケーブルテレビや競合でも放送できてしまうために、私たちの独自性を打ち出せないという問題がありました。 ネットフリックスに先立って始めたインターネット配信も当時はタイミングが早すぎて十分な事業に育っておらず、インターネットがブラジルに普及していれば、有料ケーブルテレビとは独立した形で事業を続けることができ、また違った結果になっていた可能性も大いにあると思いますが、当時の状況ではスカイやネットを使わずに競争に残るのは無理でした。 しかし、この投資は自己資金だけではまかないきれない金額だったため、ターナー社から更なる出資を受ける必要が出たため、すでにターナー社の株式持ち分も大きく、これ以上の出資を受けた場合に、私達が小数株主としてとどまるメリットもないと判断し、エスポルチの100%をターナー社に売却しました。   エスポルチ・インテラチ―ヴォとしての成功 株主ではなくなったものの、引き続きエスポルチ・インテラチ―ヴォの経営陣として指揮を執り続け、チャンピオンズリーグという人気コンテンツの独占権利を得たことで、ネットやスカイはエスポルチ・インテラチ―ヴォを有料チャンネルの番組枠に入れずにはいられなくなっていました。 視聴者の猛烈な要望を受けたのでしょう、最初にネッチが、その後スカイが、それぞれエスポルチ・インテラチ―ヴォをチャンネルの一つとして受け入れることになりました。 また、翌年の2013年には、会社設立最初の大きなプロジェクトであったリガ・ノルデスチの復活という喜ばしいニュースもありました。10年間にも及んだ裁判が終わり、また私たちがこのリーグの運営に参加することができるようになりました。出資を受けた結果エスポルチ・インテラチ―ヴォとしては大きく前進することができました。   新たな始まり 最終的に会社の100%の売却が完全に終了したのは2015年2月でした。 それから更に1年間、経営に携わりましたが、また新しいプロジェクトを始めるべく、家族と一緒にアメリカのシリコンバレーに引っ越しました。 かねてよりシリコンバレーの生態系、シードアクセラレーターやキャピタルベンチャーについてもっと深く知り、新しい起業家達とのネットワークを作りたいと強く考えていました。 その後、小さなスタートアップへの投資を行って経営のサポートをしつつ、自分で新しく起業する為の準備をしています。 今年の初めにアメリカからブラジルへ戻ってきて、本格的に事業を立ち上げる準備を進めています。今度の事業はシンプルに言えば、様々なスポーツ関連の組織がで簡単に動画配信できるようなオンラインプラットフォームのサービスを考えています。 起業や新たなサービスを提供してきた中で思うのは、やはり自分はグローバル大企業で働くのには合わないといことです。自分が経験したからこそ言えることですが、大企業の社内政治は起業をするのに必要な自由と自主性を奪ってしまうのです。結局、社内のマネジメントに多くの時間を費やしてしまい、新しいことが出来なくなってしまう。 エスポルチ・インテラチーヴォの成功の秘訣は、社内調整に私達の時間をそれ程使わずに成長できたことだと思います。私がプロジェクトに携わったり取引するなどで垣間見てきた他の大企業はその部分でいつも非常に難しい状況にあると思います。   ブラジルスタートアップのエコシステム 私が起業を始めた90年代後半に比べると、今のブラジルはスタートアップが発展しやすい、非常によいエコシステムができていると思います。勿論、シリコンバレーには程遠いですが、基本的な考え方・土壌がが違うので、単純に比べられないと思います。 ブラジルのスタートアップが更に発展するには、文化的な要素が変わっていかなければいけないと思います。例えば、私自身の経験を例にすると、ターナー社を退職すると決めた時、沢山の人から良い役職、良い給料を貰っているのに、何が不満なんだと聞かれました。 私は今、大企業からの招待を断り、就職先を敢えて探さずに、ゼロから新しいことを始めようとしています。この様な考え方は、ブラジルでは自然だと思われません。まだまだブラジルでは、起業家になるのは良い仕事に就けなかった人だとすら考えられてしまう偏見がまだあるように思います。 シリコンバレーでは起業家が次から次へと新しいプロジェクトを始め、多くのプロジェクトが失敗に終わる中で、少数が成功します。重要なのは多くの人がたくさんのプロジェクトを始めることです。 もしブラジルが、起業に関する手続きを簡易化してくれれば、だいぶ良くなるとは思います。例えば会社設立手続きの官僚的なところや、複雑な税制の簡素化などが行われるとブラジルのエコシステムもさらに良くなると思います。   起業を志す人へのアドバイス 起業を始める前に、起業してからの困難に対して現実的に考える様に心がけてください。 明日の保証がない人生を生きる覚悟が必要です。 エスポルチの歴史を振り返っても例外ではなく、私達は何度も新たなことをゼロから作り上げることをを繰り返さなければいけませんでしたし、資金が切れて倒産する寸前まで行ったことも1度ではありません。 その反面、自分の努力が実を結ぶのを見るほど人生で嬉しいこともありません。特に、自分自身のパッションに基づいて活動しているのであれば尚の事です。 シリコンバレーのベンチャーキャピタルがよく言うことですが、起業家には2種類、「ビジョナリーとマーセナリー」がいます。 ビッグビジネスにまで発展するのは最初のグループでビジョンや夢を実現すべく始めたビジネスで、最初から金儲けが目的となってしまっているビジネスはそれほど大きな成功を収めることはありません。あなたにはお金に関係なく、本当にやりたいことはありますか?   起業家達へ三つのメッセージ 「壁もありますが、ブラジルはビジネスチャンスが沢山あります。この国には色々な分野に置いて、大きな市場がありますが、それと同時に、現状のサービスのクオリティがまだまだ低いので、それを解決するニーズがあり、そこにビジネスチャンスがあるのです。」 「私自身、まだまだ起業するエネルギーもありますし、次の事業ではまた異なったアプローチをするとは思いますが、一つだけ、確実なことがあります:私は絶対に縦割りの大企業で働きたくありません。大企業の社内政治は、起業をするにおいて必要な自由や自主性を奪ってしまう可能性があるからです。 「起業を始める前から、起業後の困難に対して現実的に考えることはとても重要です。そして、保証のない明日を生きるには、自分自身を良く知る、という準備がとても重要になってきます。」 エディガル・ディニズ(Edgar... Read More

Esporte Interativo創業者インタビュー:スポーツビジネス界の風雲児Part 2:スポーツ業界での起業を目指して

エディガル・ディニズ

ブラジル・ベンチャー・キャピタルの起業家インタビューシリーズ。 ブラジルで新規参入の難しいメディア・コンテンツ業界でエディガル・ディニズの企業から米タイムワーナーグループのターナー社へ売却までのストーリー。 第二章では企業から安定した収益減を得るまでの試行錯誤の様子が語られます。   大企業との争い ヴィトリアとのプロジェクトのお蔭で、私達はブラジルのクラブが年間を通してどの様に動くのかを理解しましたが、そこで驚いたのは、クラブが競合チームが2つしかない州大会に6ヶ月もの期間を費やしていたことです。 競合が二チームしかないので、最初からどのチームが決勝に残るのかを分かっているわけですから、大会の大部分を盛り上がりに欠ける消化試合のようなものなのです。そこにたくさんのチームが年のほとんどの時間を費やしていたのです。 その現状を見て、新しい大会の開催を考えました。2年前に成立していたペレ法により、独立リーグの立ち上げが合法化されていたので、大会開催自体は法律的には可能でした。... Read More

Inmetrics創業者インタビュー:システム最適化のトップ企業Part 4:

パブロ・カヴァウカンチ

ブラジルベンチャーキャピタルがブラジルの起業家が成功に至るまでの道のりを独占インタビューで迫る本シリーズ。 第三回のデータ処理効率化・モニタリングを支援するインメトリクスの創業者パブロ・カヴァウカンチ氏のインタビュー最終章です。   Yellow インメトリクスが成長してくる中で2016年にYellowというアクセラレーターを設立しました。インメトリク社がシェアの70%を保有しています。 非常にアグレッシブなシードアクセラレーターで、最新のテクノロジーを導入し、マーケットから非常に有能な人材を集めており、様々な事業を手がけていますが、中でもコアなテクノロジーに根ざしたスタートアップの選別、支援に強みがあると自負しています。 私がここでいうコアなテクノロジーというのは、ウェブサービスやインターフェイス系の技術ではなく、高い業績を実現させるための原動力を作り出したり、人工知能といった分野に重点を置いています。 投資する会社を選ぶ際に、有能な人材がいて、アイディアも優れているものの、世界レベルのクオリティを目指す私たちの基準からみると技術面で今一つ欠けている会社を選びます。 これまで5社に投資をしてきましたが、全てうまく行き、特に技術面で大きな飛躍を遂げました。 アクセラレーターとしてもアマチュアレベルからは脱出し、トップレベルの仲間入りをする一歩手前といったところでしょうか。 アグレッシブ且つ迅速に動いて、これらの企業を早くマーケットに出し、買収される機会を伺えるようにすることを目指しています。   将来の展望 これからの弊社の将来の方向性を決める上で最も大切な基準は、経済的に儲かるかどうかにつきます。 仮にもしインメトリクスの売却を5億レアル(約200億円)でもちかけられたら、即応じて他のビジネスを始めるでしょう。現時点でのインメトリクスのEBITDAの18倍に相当する額ですから。 ただ、こんな投資家が現れることはなかなか想像できないので、当面は、会社が更に成長し、利益率や効率が上がり、より幅広い事業を手掛け、イノベーションを生み出せるように、粛々とと努力するのみだと考えています。 この点アクセラレーター事業のYellowは、インメトリクスよりも目立った特色があるので、高いリターンが得られる見込みがあるかもしれません。 IPOはまだ夢のまた夢ですが、何れにしてもどんなことでも起こりうると想定しながら動いています。 最も可能性が高いExitは戦略的売却でしょう。目標は、インメトリクスの市場価値を5年間で10億レアルまで高めることです。 Yellow、もしくはそのポートフォリオのスタートアップが成長することで、インメトリクスのバリュエーションに相乗効果を与えることもあるでしょうし、インメトリクス自身がオーガニックに成長を続けて収益を上げることも当然ながら重要な要素です。 今日では、技術の進歩でソフトウェアのような製品と人が介在するサービスといった区分はもはや消滅したと思います。このため私たちは、人に頼るサービスをどんどん縮小し、現在手掛けている事業の全てに人工知能を導入しています。 このような戦略に舵を切ってからEBITDAは増え続けており、今後も引き続きこの方向性で従業員一人当たりEBITDAを増加させることを目指しています。   起業家に向けた8つのメッセージ 1 自分より優れた人材を雇いなさい。 2 想定よりもコストが高い人物の雇用を検討する際は迷うものだが、悩んだ末の答えがイエスならリスクをとって雇うべき。 3 適材適所で人材を有効活用しよう。 4 営業・販売は会社にとっての酸素のようなもの。なければすぐに死んでしまう。最重要課題。 5 困難な決断に迫られる場合、原則に立ち返ろう。これはブレないためにとても重要。 6 保守的な姿勢と、リスクを厭わない姿勢を同時に保つことは、矛盾しているようだが、ビジネスを成功させる上で極めて重要。 7 利益の再投資は非常に重要。資産と資金を混同すると、失敗する可能性がある。 8 仕事上での親戚との付き合いはご法度。友人はパートナーとなりうるが、プロ意識のある関係の場合に限る。(インメトリクス設立時の規約の一つ)   パブロ・カヴァウカンチ: 13歳の時にビルゲイツに憧れ、15歳の時にはハッカーとしてプログラミングにその才能を発揮し、父の経営する企業の会計システムを構築。大学でコンピュータサイエンスを学んだ後、4年後に大学時代の友人とインメトリクスを創業。自身の貯金450万円を投資した以降は外部からの大きな出資を受けることなくインメトリクスを成長させてきた。   インメトリクス: 2017年で創業15周年を迎えるインメトリクスはシステム全体をモニタリングすることで問題の早期発見・解決を行うことでクライアント企業の効率的なデータ処理を実現する。同分野では銀行や流通を含めブラジルではダントツのトップシェアを誇り、コロンビア・チリなどラテンアメリカ各国へ進出し成功を収めている。過去9年間毎年85%の成長を続け、規模が大きくなった直近3年では毎年約40%の成長を続けている。... Read More