STONEがNASDAQ上場で新たなユニコーンに

Stone

ブラジルの決済ソリューションを提供するStoneが2018年10月1日にNASDAQにIPO申請後、10月25日に上場しました。 IPO資料によると公募株価はUS21-23で約10億ドルを調達、企業価値としては約60億ドルを想定していました、公募後に株価が30ドルを超えたため、企業価値は約90億ドル、約1兆円企業になりました。新たなユニコーンの誕生どころか、もう一息で企業価値100億ドルを超えるデカコーンクラスの上場となりました。 StoneはブラジルのPaypal、Stripeになると言われていて、公開前にバークシャー・ハザウェイ、ジャック・マーのアントフィナンシャルからの買い付けを取り付けていたのも高株価になった要因と言われています。 創業2012年からわずか6年でのNASDAQへのスピード上場、ブラジリアンドリームという感じでしょうか。私も上場にあわせてWhatsappで友達のStoneの役員とやり取りしていましたが本当に興奮して喜びにあふれているビデオやメッセージが送られてきまいた。 顧客数約20万、上半期の売上高が約200億円ですが、前年同期比のほぼ倍増という伸び方を評価されての数字でしょう。市場が大きいブラジルはポテンシャルの大きさはワールドクラスなことを改めて見せてくれた案件です。 創業者のAndré... Read More

日伯投資家対談:インベスト・テック カルロス・ペッソア・フィリョ&BVC 中山充 Part 3

カルロス・ペッソア・フィリョ インベステックマネージング・ディレクター

ブラジル・ベンチャー・キャピタルのインタビューシリーズ。今回はブラジルのベンチャーキャピタル、インベスト・テックのマネージングディレクター カルロス・ペッソア・フィリョ氏と弊社代表 中山充の対談形式でブラジルのスタートアップ・エコシステムについて意見を交わします。 最終章ではブラジルのスタートアップのエグジットや海外投資家がどのようにブラジルのマーケットに参画するかについて語ります。   ブラジルのスタートアップのエグジット 中山:日本では、証券取引所がスタートアップなどの中小企業に対し門戸を開いたのはこの20年くらいのことであり、それがこの国のスタートアップのエコシステムにとって決定的な出来事となりました。 ある程度成長すれば新規株式公開(IPO)ができるようになり、実際にいくつもの成功事例が出てくることでポテンシャルのある起業家予備軍のメンタリティーを変えることになりました。 ブラジルのスタートアップにとってのエグジットはどのようなものがあったのでしょうか?また、ブラジルでも最近エグジットの選択肢は広がりつつあるように思いますが、どのように見ていますか? カルロス:その当時の大きなエグジットとしてはスブマリノ(Submarino)のケースが挙げられます。スブマリノは2005年の3月にサンパウロの証券取引所でIPOしました。 もう一つの重要な例は、1990年にシーメンスでの18年のキャリアを捨て、マンディックBBSというインターネットプロバイダーとして起業したアレクサンダー・マンディック(Aleksandar... Read More

日伯投資家対談:インベスト・テック カルロス・ペッソア・フィリョ&BVC 中山充 Part 2

カルロス・ペッソア・フィリョ インベステックマネージング・ディレクター

ブラジル・ベンチャー・キャピタルのインタビューシリーズ。今回はブラジルのベンチャーキャピタル、インベスト・テックのマネージングディレクター カルロス・ペッソア・フィリョ氏と弊社代表 中山充の対談形式でブラジルのスタートアップ・エコシステムについて意見を交わします。 第二章では起業がブラジルのキャリアパスでどうとらえられているか、また、ブラジルのエンデバーやアクセラレータなどの参画でエコシステムがどう進化してきたかを語ります。   起業というキャリアパスの捉えられ方 中山:日本でも20年前は大企業や公務員としてキャリアを積むことを多くの人が「ベストな選択」と考えられていました。ただ、私が起業した2000年頃と比べると、日本でも最近ようやく起業という選択肢が一般化しつつあります。日本でも大企業が倒産したり、成功する起業家が増えてきてロールモデルと考えやすい人が増えてきていることが影響していると考えています。 ただ、私がブラジルではまだ起業をすることの意味合いや受け取られ方はまだ日本と大きな違いがあると感じています。私が2012年にベイン&カンパニーのコンサルタントとしてブラジルに来た時は、同僚が同社でコンサルタント業務に何年も身を置く人生計画を築いていることに気がつき驚きました。ベインという会社に勤める人はブラジルでも比較的リベラルな人ですし、ベインは企業文化の中に起業精神を十分に持っている会社なので。 しかも、1998年に私が日本のベイン&カンパニーに勤め始めた時は、自分のビジネスを始めるために誰が先に独立するのか皆が競い合っているような感覚すらあったので14年前の日本よりも保守的なのか、と。 ただ、当時はブラジルに来たばかりで、点でしか見えていなかったのですが、数年ブラジルに身を置くにつれ、ブラジルのアントレプレナーシップが進化してきていると感じています。逆に私が来る以前の2000年頃に比べるとそれでも2012年の状況は良くなっていたのかもしれません。 エンデバーでは具体的にはどのような施策をおこなったのか、詳しく教えて頂けますか? カルロス:実はエンデバーがブラジルで活動を始めたころに驚かされたのは、自らが起業していたり、起業家やスタートアップを相手に仕事をしている人々の数はかなりの数に及んでいることでした。ただ、やはりベインに行くような人とはちょっと層が違っていたかもしれません。 こうした当時のエコシステムに強く求められていたのは起業家として、もしくは経営者としてのトレーニングでした。エンデバーはそのような人材を集めて、全体のレベルアップを図るための取り組みを始めました。 2000年に私たちが最初に行ったイベントはジャングル・トレーニングと呼ばれたもので、当時のエコシステムに風穴をあけるものでした。それは、起業のブートキャンプのようなもので、ビジネスプランをデザインしなおすというものでした。 99... Read More

日伯投資家対談:インベスト・テック カルロス・ペッソア・フィリョ&BVC 中山充 Part 1

カルロス・ペッソア・フィリョ インベステックマネージング・ディレクター

ブラジル・ベンチャー・キャピタルのインタビューシリーズ。今回はブラジルのベンチャーキャピタル、インベスト・テックのマネージングディレクター カルロス・ペッソア・フィリョ氏と弊社代表 中山充の対談形式でブラジルのスタートアップ・エコシステムについてお互いの意見を交換します。 90年代の終わりブラジルにおいてスタートアップのエコシステムがどのように成長してきたのか、その後、ブラジルにおける起業家の意識やベンチャーに対する投資の意識に関して、この20年に起こった変化についてそれぞれの見解を話します。数多くのブラジルのスタートアップを見てきている投資家側の視点からブラジルのスタートアップ・エコシステムの発展過程と今後の展望についての一つの視座となれば幸いです。   Carlos... Read More

bxblue創業者 グスタヴォ・ゴレンスタイン インタビュー Part 3

bxblue創業者 グスタヴォ・ゴレンスタイン

ブラジルの起業家に幼少期から成功までの道のりを語ってもらうブラジル・ベンチャー・キャピタルの独占インタビューシリーズ。 今回はポウピ(Poup)を起業後売却し、現在2つ目のスタートアップとなるベーシスブルー(bxblue)というフィンテックのスタートアップを立ち上げたグスタヴォ・ゴレンスタイン氏のインタビューです。 bxblueはシリコンバレーのYコンビネーターのプログラムにも参加したスタートアップで、私どもブラジル・ベンチャー・キャピタルもYコンビネーターに投資を受ける前の段階で出資しているスタートアップです。   第三部ではグスタヴォが現在立ち上げているbxblueでの経験をYコンビネーターのプログラムの内容を含めて語ります。   新たな可能性の世界へ 新しいビジネスを考える前に、私が自分自身に問うたことは「私は一体誰と起業をしたいのか?」私にとってそれが一番大切なことだったのです。私の頭の中には、少なくとも10人のアントレプレナーのリストがありました。その中の2人は、ソフトウェア製造会社でカルロスの元共同経営社だったファブリシオ・ブゼット(Fabricio... Read More

bxblue創業者 グスタヴォ・ゴレンスタイン インタビュー Part 2

bxblue創業者 グスタヴォ・ゴレンスタイン

ブラジルの起業家に幼少期から成功までの道のりを語ってもらうブラジル・ベンチャー・キャピタルの独占インタビューシリーズ。 今回はポウピ(Poup)を起業後売却し、現在2つ目のスタートアップとなるベーシスブルー(bxblue)というフィンテックのスタートアップを立ち上げたグスタヴォ・ゴレンスタイン氏のインタビューです。 bxblueはシリコンバレーのYコンビネーターのプログラムにも参加したスタートアップで、私どもブラジル・ベンチャー・キャピタルもYコンビネーターに投資を受ける前の段階で出資しているスタートアップです。   第二部ではグスタヴォの最初のスタートアップ、Poupの起業に至るまでのストーリーを語ってくれます。   ブラジル帰国後のチャレンジ ビジネスを始めようと、ブラジルに戻りました。コカ・コーラから魅力的なプロポーザルがあり、アップル、Googleなどからも魅力的なチャンスを頂きました。でも、私は当初のプランを揺るぎなく維持していました。そして、私が今何をしているのかと誰かに尋ねられた時の答えは、「失業中だよ」というもの。実際に動かしているプロジェクトがない限りは、起業をしているのだとは言いたくなかったんです。このような返事しかできないことは私にとってとても苦痛でした。 私はブラジルのスタートアップ関連の人を誰も知りませんでした。なので、その業界のイベントに行き、その道の人たちと会話をするように務めました。私はこのように話しました。「ロンドンから戻ったばかりなんです。(当時ブラジルではまだあまり普及していませんでしたが)リーン・スタートアップのようなセオリーに関して修士号を取りました。具体的に助けが必要でしたら、講演会もできますよ。」 すると、スタートアップ・ファームのようなアクセラレーターから呼ばれるようになり、このエコシステムをより知るようになりました。 ロンドン時代に、イラン・ベン・サバットという名のイスラエル人の大親友ができました。彼は一緒にプロジェクトをやるよう提案をしてくれました。「そのビジネス自体がうまく行くかどうかなんて重要じゃないんだ。そうじゃなくて、我々の議論を続けて一緒に何かをやろうじゃないか!」 私は了解し、リサーチを行いました。彼はロンドン出身で、私はブラジル人。私たちのリサーチの中で、Quidcoというキャッシュバックを行うロンドンの企業に注目しました。キャッシュバックのビジネスコンセプトは2011年のブラジルでは新しいものでした。ブラジルではようやくPeixe... Read More

bxblue創業者 グスタヴォ・ゴレンスタイン インタビュー Part 1

bxblue創業者 グスタヴォ・ゴレンスタイン

ブラジルの起業家に幼少期から成功までの道のりを語ってもらうブラジル・ベンチャー・キャピタルの独占インタビューシリーズ。 今回はポウピ(Poup)を起業後売却し、現在2つ目のスタートアップとなるベーシスブルー(bxblue)というフィンテックのスタートアップを立ち上げたグスタヴォ・ゴレンスタイン氏のインタビューです。 bxblueはシリコンバレーのYコンビネーターのプログラムにも参加したスタートアップで、私どもブラジル・ベンチャー・キャピタルもYコンビネーターに投資を受ける前の段階で出資しているスタートアップです。   第一部ではグスタヴォの学生時代の”起業家”としての原体験を語ります。   Gustavo... Read More

『中小企業経営者が海外進出を考え始めた時に読む本』出版のご案内

中小企業経営者が海外進出を考え始めた時に読む本

この度『中小企業経営者が海外進出を考え始めた時に読む本』をクロスメディア・パブリッシング様から出版させて頂きましたのでご案内いたします。 私はこれまでに、ベイン・アンド・カンパニーの東京オフィス、サンパウロオフィスで日本企業の海外進出や外資系企業の日本進出プロジェクトを数多く経験してきました。現在も自分自身が個人として海外進出に悪戦苦闘している中ですし、複数の日本企業のラテンアメリカ事業の立上げに様々な形で携わっております。そんな中、日本企業の海外進出のご相談を数多く頂くようになったのですが、多くの日本企業と話している中で、最初にお話する内容が非常に似通ってくるようになったことに気が付きました。また、多くの企業に共通した違和感も抱えるようになりました。 私自身海外進出に成功したわけではなく、1人のビジネスパーソンとして日々必死にやっているだけしかありません。また、進出企業も各社それぞれの状況があると思います。したがって、本書は海外進出の成功マニュアルではありませんし、そんな共通した成功マニュアルなどは存在しないと思っています。また本書は特にリソースの限られた中小企業の経営者の方を対象にしておりますので、大企業ではまた勝手も違うかもしれません。ただ、ある種共通したスタンス・心構えといったものを整理したにすぎません。 本書では日本企業の海外進出状況を振り返りつつ、海外進出のよくある失敗パターン、その失敗の原因と、正しいスタンスについてのこれまでの私の経験から思うところを非常にシンプルにまとめたものです。本書を読まれた方に少しでも海外進出の「心の準備」の一助となる部分があれば幸いです。 ... Read More